今回は前回の記事に続き、ギフテッド教育研修「中級コース」で学んだ内容をまとめました。

中級コースでは、アメリカのギフテッド教育で使われている「思考スイッチ」を中心に、「どう教えるか」という実践スキルを身につけていきます。
中級コースでは何を学ぶの?
中級コースで扱われる主なテーマは、次のような内容です。
- 「思考スイッチ」を使った教え方と、その実践方法
- 問題解決型学習や自由研究のサポートの仕方
- 2E児童の強みを活かした勉強法
- ギフテッド児向けの探究型授業の組み立て方
- 集中力を保つためのフレキシブルシーティングや、クリエイティブな課題の出し方思考スイッチの使い方
90年代に南カリフォルニア大学のサンドラ・カプラン博士がカリフォルニア教育委員会に向けて発表した手法です。
このカプラン博士のツールは、もともと、学力の異なる子供が入り混じる教室で、個別最適をするために作られました。なので、ギフテッドの子どもにも、そうでない子どもにも使えます
日米ギフテッド協会の研修では、絵文字を使ってこの思考スイッチを学びます。

詳しくは日米ギフテッド教育協会のウェブサイトで確認できます
先生・指導者が講座を受けるメリット
たとえば学校や塾の先生であれば、「ギフテッド傾向のある子ども」に対して、どのような関わり方や課題設定が合っているのかが、具体的にイメージしやすくなると感じました。

授業中のあの場面でこの思考スイッチを使ってみよう



こういう声かけなら興味をくすぐれそう
というように、「試してみたいアイデア」がどんどん増えていきます。
保護者が講座を受けるメリット
保護者にとっては、次のような場面で役に立ちそうです。
- 「思考スイッチ」を使うことで、自由研究のサポートがぐっとしやすくなる
- わが子に合った進学先や入試スタイルを考えやすくなる
- 子どものやる気を引き出しやすくなる
「自由研究のテーマはサッカーにしよう!」と思っても、そこでアイディアが止まってしまった……
こんなときに、「時間とともに起こる変化」のスイッチを使えば、「30年前と今のプレイスタイルの違い」「蹴鞠とサッカーの違い」などのアイディアが浮かんできますし、「異なる視点」を使えば実業家の視点で「地元にプロサッカークラブを作るには」とか、コーチの視点で「リフティング200回を目指す効果的な練習方法」などのアイディアが浮かびます。
アイディア出しのあと、資料をまとめるときにも活躍します。
「他分野にまたがる」スイッチを使えば、「プログラミングを使って、サッカーゲームを作ってみよう」「アート・文学の分野を取り入れて、発表資料に漫画を描き加えよう」と表現方法に幅がうまれます。「パターン」スイッチを使えば、リフティングがうまい人の練習方法から、共通したパターンを探してみよう、となるかもしれません。
こんな風に「思考スイッチ」を活用することで、子ども自身の思考を促すことができます。
講座の難易度は?
初級が「理論や定義」が中心だったのに対して、中級では「実践」がメインになるため、「習った通りにやってみたつもりなのに、うまくいかない!」という場面も出てきます。
平成の日本の教育の中で育ってきた身としては、「思考スイッチ」はなじみの薄い考え方も多く、正直すぐには使いこなせませんでした。
2回、3回と試していくうちに、少しずつ「こうすればうまくいくのかも」という感触がつかめてきました。



トライ&エラーを重ねながら、少しずつ上達していくプロセスそのものが、この講座だと感じました
一方の子どものほうは、すぐに使い方をマスターすることが多いようで、参加された方も驚いていました。



従来の教育で育ってきた大人は、正解を求めすぎてしまって、かえって使うまでに慣れが必要なのかなとも感じました
思考スイッチは、「思考スイッチを使うこと」が目的ではなく、「思考を深めること」が目的なので、慣れてくるとすごく自由に使えます。
どんな人におすすめ?


以下のような方が受講すると、とても満足度が高いと思います。
- ギフテッドの定義については一通り知っているけど、具体的にどうすればいいのかわからない
- 高IQの子が授業をかき乱してしまうと感じている塾講師、教員の方
- 初級コースを受けて、もっと実践をつんでみたいと感じた
- ギフテッドで不登校の子供がいて、勉強や教育で悩んでいる
- 子どものやる気を引き出したい
印象に残っていること



印象に残っているのは、「本人はやりたくないけれど、やることが求められる課題」への向き合い方についての話
講師の先生は、「その課題が、子ども本人にとってどれくらい重要かを一緒に考えることが大事。本人が重要だと感じられれば取り組みやすくなるし、どうしても重要だと思えないなら、やらないという選択肢もあり得る」という趣旨のことを話されていました。
ギフテッドの特性がある子どもは、興味がなく、意味を感じられないことには極端に動きが鈍くなる一方で、「興味を引き出す」「重要性を理解する」「深く考える入口をつくる」といった工夫があると、持ち前の思考力をぐっと発揮しやすくなります。
中級コースを受けて感じたこと(まとめ)
初級で学んだ理論を土台に、「興味を引き出す」「重要性を一緒に考える」「深く考えるきっかけをつくる」といった技術を、講師や他の受講生と一緒に練習していくイメージです。
トライ&エラーを繰り返すうちに、



この子が問題に取り組むなら、このスイッチが合いそう



この声かけなら届くかもしれない
といった具体的なアイデアが少しずつ増えていきます。
ギフテッドや2Eの子どもの「動きにくさ」に悩んでいる先生や保護者にとっては、その子の特性を否定するのではなく、「持ち味の思考力をどう引き出すか」という視点を実感をもって学べる、貴重な機会になると思います。
日米ギフテッド教育協会の名誉顧問には、SENGのプレジデントやギフテッド専門の小学校の元校長など、アメリカの名だたるギフテッド・2E教育の専門家の方々がいらっしゃり、研修を監修されています。
そのため、この研修の内容は、常にアメリカの最新のものにアップデートされるとのことです。



みなさんも、アメリカの最先端の教授法を学んでみませんか?


