このコラムにたどり着いた方は、お子さんの漢字の宿題や、テストに悩んでいるかもしれません。
意外に思われるかもしれませんが、ギフテッドの中には、漢字ドリルが苦手という子が多くいます。実はこれは「あるある」で、ものすごく多いです。
「100マス計算」と「漢字ドリル」は天敵のようです
そこには、以下のような理由が考えられます。
- 不器用なため「書く」ことが苦手
- 単純作業が苦痛
- 意味を見出せない
- 些細な事(とめ・はね・はらいなど)を指導されるのが苦痛
- 手のスピードよりも頭のスピードが早いので、もどかしい
- 完璧を求めすぎて疲れる(完璧主義)
- LD傾向がある
※LDを疑っている場合は、専門家に相談するようにしてください
もし、お子さんに以下のような困り感が見られたら、ぜひこのコラムを読んでみてください。何かお役に立てるかもしれません。
- 漢字の宿題に異様に時間がかかる
- 漢字の宿題にとりかかるまでに時間がかかる
- 漢字の書き取りで、かんしゃくをおこす
- 字が汚い
- 字のバランスが悪い
- 枠からはみ出る
- 細かいパーツを間違う(強のムがノになる、実の横線が2本になるなど)
- 送り仮名が理解できていないようだ(「多い」の「い」はどういう漢字?など)
- 同じ読みの違う漢字を書いてしまう(早朝→走朝など)
今回は、漢字学習のサポート方法を「サポートの難易度別」にご紹介します。
漢字のレベルや、本人の困り感のレベルではなく、「取り入れやすさ」で分けています。
お子さんとの相性を見つつ、取り入れられそうなものがあれば、ぜひ試してみてください。
※板書が難しい、字が枠からはみ出るなどの困り感がある子の場合、「視線を移動させるのが苦手」「目と手を同時に使うことが苦手」など、目の発達を検査したほうが良いこともあります。その場合は、発達に詳しい眼科を受診するとよいです。私が知っているのは、千葉県のかわばた眼科や、各地の「ジョイビジョン」です。また、診察をうけなくとも、自費で書籍を購入し、視覚認知のトレーニングを行うという方法もあります。
レベル1:サポート下敷きを導入する
もっとも手軽で、親子ともにストレスがかかりにくい方法は、文房具にこだわることです。漢字を書くときに使う文房具は、以下の4つ。
- 鉛筆
- 消しゴム
- ノート
- 下敷き
それぞれいろいろ試しましたが、効果が大きいと感じたのは、「下敷き」です。特に、手先が不器用な子におすすめです。
こちらの下敷きは、作業療法の考え方をもとに開発されたものです。表面がデコボコしており、書くときに振動が脳に伝わります。それによって、「書いている感覚」が得られ、字を書きやすくなります。
デコボコの大きさが2種類ありますが、小さいほう(0.3ミリ)がおすすめです。0.6ミリは字までデコボコしてしまい、「きれいに書けた」感覚が得られにくいからです。
もちろん個人差はあるでしょうが、0.3ミリなら、私はほぼ気になりません。
我が家は学校にも持っていっていましたが、先生によっては、「ぼこぼこの下敷き」に抵抗を感じることもあるようです。
事前に、先生に目的を説明しておくとスムーズです
お近くの文房具店で売っていれば、送料がかからないので助かります。我が家の場合は、近くで取り扱いがなかったため、楽天で3セット買いました。
下敷きにしては割高ですが、後悔はゼロ。ダメになったらまた買います。
子供も「書きやすい」「この下敷きがないと気持ち悪い」と言っています。算数のときも、国語のときも、コグトレのときも、自分でかならずこの下敷きを持ってきて使っています。
また、下敷きを変えるだけなので、追加で親の労力がかからないのも、ありがたいです。
レベル2:学校と交渉して、ノートをかえる
もう一歩踏み込みたい場合には、ぜひこちらの漢字ノートを検討してみてください。
学校の先生にかけあって、宿題はこのノートで対応するとよいです。
学校の先生と交渉する必要があるので、レベル2としました
学校の漢字ノートは、同じ漢字だけをひたすら10回以上書きますが、これが漢字を嫌がる原因のひとつです。
その点、こちらの漢字探求ノートは優秀です。
- 漢字単体で書く回数が少ない
- マス目が大きめ
- 似た漢字、同じ読み、熟語など、関連付けて覚えられる
- 単純作業ではなくなっている
漢字単体では覚えにくいこともありますが、「音」「意味」「熟語」「部首」など、あらゆる角度から漢字にアプローチすることで、記憶も定着しやすそうです。
レベル1、レベル2があり、サイズは各2種類。計4種類あります。
レベルやサイズによって「書く量」や「枠の大きさ」「内容」が少しずつ違いますので、お子さんの様子を見ながら、一番フィットしそうなものを選んでくださいね。
学校のノートではなく、このノートを使用すると、少しだけ漢字学習が楽になると思いますよ! 学校の宿題と両方させると、負担が大きくなりすぎてしまいますので、要注意。
レベル2:「書いて覚える」作業は最小限にして、小テストで繰り返す
「意味もなく回数だけ書く」「マス目を埋めることが目的」の漢字学習は、大変です。ですから、「書いて覚える」作業は最小限にして、あとはひたすら小テストをします。
子どもも、「覚えている漢字を何度も書く」ことには意味を見出せなくても、「覚えていない漢字を覚える」ことには意味を感じてくれるかもしれません。
間違えた漢字は、ノートに書くか、ミチムラ式で唱える、指でなぞるなどします。本人が「覚えた」と言ったら完了です。
「間違ったら10回書く」などは禁物です
次の日や、二日後などにもう一度覚えているか確認します。
とめ・はね・はらいなどは、親が指導すると反発も大きいです。心穏やかでいるために、多少は見逃してもいいかも……
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レベル3:ミチムラ式漢字学習法を導入する
ミチムラ式という漢字学習法をご存じでしょうか?
もともと、視覚障害がある子供たちのために開発された学習方法です。ミチムラ式では、漢字は書き方を唱えて、覚えたと思ったら、1回だけノートに書きます。
例えば「進」なら、「ふるとり、しんにょう」と唱えて覚えます。
ミチムラ式では、学校で使っている教科書に準じているカードを選ぶことができます。対応している教科書は、光村図書、東京書籍、教育出版の3社。
学校と同じ順番で学習していくことができるので、使いやすいです
相性もあると思いますので、1学期分くらい取り組んで、様子を見てみてもいいですね。どちらかというと、聴覚優位の子や、言語理解が凸の子に向いているのではないかなと思います。
ミチムラ式の公式サイトは、こちら。
まとめ
漢字の書き取りが苦手な子へのサポート方法を4つご紹介しました。
実は、漢字や書字が苦手な子の中には、「図形の把握」が苦手という子が一定数います。
年齢にもよりますが、「立方体が書けない」「円を6等分できない」などが当てはまるなら、視空間認知のトレーニングを検討してみてもよいかもしれません。(もちろん、図形が得意な子がやれば、得意を伸ばすことができます!)
視空間認知のトレーニング方法については、以下でもご紹介しています。