ギフテッドの子に、くもん式って向いてる?

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東大生の3人に1人がくもん式経験者だと、聞いたことはありますか?

実際に、くもん式に通っている子はかなり多いように感じますし、くもん式の教室もよく見かけます。

それでは、ギフテッドの子にも、くもん式は合うのでしょうか?

結論から言うと、「くもん式とギフテッドの相性は、悪い」と思います。

ギフテッドの多くは、WISCにおいて「言語理解または知覚推理の片方または両方が高く、処理速度が低い」パターンを示します(ワーキングメモリは高い場合と低い場合があります)。このような子供たちにとって、くもん式はまさに鬼門のように思えます。

もちろん、ギフテッドにもいろいろなタイプがいますので、中には相性が良いという子もいるでしょう。特に処理速度が高い子は、くもんで非常に伸びるかもしれません。

くもん式を受講しようかどうか迷っている方は、判断材料になると思いますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

くもん式ではどんなことをやっているのか

くもん式では、くもんオリジナルのプリントを解きます。子どもたちが自分で進むことを重視しているので、基本的には、教室の先生が指導を行うことはありません。くもんのプリントは、スモールステップで勉強を進められるように工夫されているため、自学自習でも自然に学習を進めていけます。

教室には週に2回通い、それ以外の日は自宅で宿題をします。算数・国語・英語の3教科が学べます。

東大生の3分の1が公文出身者というのは、ほんとう?

東大生の3分の1が公文出身者というのは、本当でしょうか。こちらの東洋経済新聞社の記事にデータがありました。東大生137人にとったアンケートで、「公文式教室」に通っていたと回答した人が35.6%だったとのことです。たしかに、3分の1以上ですね。また、そのうち、83%が2年以上公文式を学習していたようです。

私も東大を出ていますが、たしかに、くもん式をやっていました。記憶があいまいだったため、親に尋ねたところ、「小学校1年生のときに国語をやったけれど、1年でやめた」と教えてくれました。プリントで物語文が出るたびに、続きを読みたがって、図書館で本を借りていたらしいです。そのため、宿題はあまりやっていなかったとか。

東大出身で、ほかにも「くもん式」をやっていた子を知っていますが、彼もあまりピンとこず、やっぱり1年で辞めたそうです。

「東大生の3人に1人」がくもん式の中には、こんなケースも入っているかもしれません。そこで、「2年未満でやめた」子たちを除外してみます。そうすると、「東大生でくもん式2年以上」は約30%です。

いずれにしろ、大きな数字ですね

残念ながら、東大生ではない子どもたちの「くもん率」については、わかりませんでした。かわりに、くもん式の教室数・生徒数と、小学校の数を比較してみます。

くもん公式サイトによれば、2022年12月時点で、日本の教室数は1万5600、全教科合計学習者数は136万人です。

一方、2022年時点で日本の小学校は1万9336(国立・公立・私立合計)、児童数は622万人です。比較すると、くもん式教室の多さがわかりますね。

※ここでは小学校と比較しましたが、くもん式は、幼児から高校生まで受講できます。また、大学生や社会人でも受講できる場合があります。

著書『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』において、おおたとしまさ氏は、東大生にくもん式出身者が多いことについて、下記のように述べています。

受験生に求められるのは、大量の課題をこなす処理能力と忍耐力、そして、与えられたものに対して疑いを抱かない力くらいになってしまった。その素養を持つものが、塾歴社会に適合し、学歴社会の勝ち組となっていく構造。

『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』

くもん式をやっていた子どもたちには、上記の能力が培われる(あるいは備わっている)ために、その後の受験で成功している、ということですね。

この一文を読んで、どう思いましたか? 私は「いわゆるギフテッド児にくもん式は合わないだろうな」と思いました。「処理能力」も「忍耐力」も、「与えられたものに対して疑いを抱かない力」も、いわゆるギフテッド像とは正反対にあるものだからです。

私自身は、くもん式が「大量の課題をこなす処理能力と忍耐力を培う」という点には賛同しますが、「与えられたものに対して疑いを抱かない力」が受験で有利という点には、懐疑的です

ギフテッドはスモールステップが嫌い

くもん式の公式HPでは、スモールステップで学習を進められることを謳っています。そして、これこそが、くもん式がたくさんの家庭で支持されている理由のようです。けれども、ギフテッドのお子さんは、そのスモールステップが大の苦手

ギフテッドの子は、1~2度で物事を習得し、反復をあまり必要としません。反復学習のせいで、かえって学習効果が落ちるとも言われています。そのため、似たような問題を繰り返し解くくもん式とは、相性が悪いでしょう

多くのギフテッドは、処理が苦手

くもんのプリントは、思考力を鍛える類のものではなく、計算力と処理力をつける類のものです。対して、ギフテッドのお子さんは、思考力が強みで、処理力は弱み。簡単な問題は、ケアレスミスばかりが目立ってしまいます。

くもん式は自信がつくと謳われていますが、ギフテッドの子に限って言えば、自信にはならないでしょう。どちらかというと苦手(簡単な問題をまちがわずに、たくさんこなす)を克服するために通うというイメージです。

本から、ギフテッドのお子さんかなと思われるエピソードがあったのでご紹介します。

小学校のころから「まわりの小学生に比べて自分は段違いに賢い」自覚があった。(中略)テストではいつでもほぼ満点。(中略)一方で、非常に落ち着きのない子供だった。算数の文章題は得意だが、逆に単純な計算問題を間違うことがよくあった。いわゆるケアレスミスが非常に多かったのだ。頭の回転が速すぎたのかもしれない。そこで弱点補強のために、公文式に通うことにした。本人の希望だった。

 公文式に通い始めて、思いもよらないことが起こった。何度やってもケアレスミスをしてしまうので、「満点」がなかなか取れず、非常に簡単なレベルの教材で足踏みしたまま、一向に前に進めなかったのだ。

『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』

「段違いに賢い」「落ち着きがない」「ケアレスミスが多い」というのは、ギフテッドによく見られる傾向です。専門医ではありませんので、断定することはできませんが、多分にギフテッドの要素を持っている方ではないでしょうか。

「弱点克服のために通った」とあるので、「くもん式に求めていたもの」と、「くもん式が提供しているもの」に乖離はありません。それでも、指導者と合わず、1年でやめてしまったそうです。

彼は、くもん式で良かったことは、「鼻っ柱を折られる経験」ができたことだと振り返っています。

 ギフテッドに「くもん式」は向いていない

ここまで見てきたように、ギフテッドの子には、くもん式は向いていない可能性が高いです。

けれども、冒頭でも述べたように、ギフテッドと言ってもそれぞれ個性があります。処理速度が他の項目に比べて低くても、くもん式を受講して、成長を感じている方もいます。もちろん、性格や、先生との相性もあります。

「この子には、〇〇は向かない」と言って、親が勝手に判断してしまうと、子供から成長の機会を奪ってしまうことになります。このブログでは私見を綴っていますが、やはり究極的には、やってみるまでわかりません。気になる場合には一度体験に行ってみてもいいですね。

最後に、まさにこれこそ、くもん式とギフテッドの相性を言いえた文章!というものがあったので、紹介させていただきます。

『1を聞いて10を知る』タイプの子、または『1を聞いて、すぐに2には行かずに、1について自分なりに考えたい』というタイプの子は、公文式メソッドはそもそも合わない

公文式に重大な落とし穴?「東大生の3人に1人は出身者」のカラクリ

くもん式がダメなら、どんな教材で勉強したらいいの? 下記の記事では、通信教育4社を比較しています。

ギフテッドの子に、中学受験ってどう? ギフテッドの育て方指針をご紹介しています。

※本記事は、くもん式とギフテッドの相性について考察したものです。くもん式についての是非を述べたものではなく、くもん式を称賛したり、また批判したりする意図はありません。

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