ギフテッドの子供というと、どんな子を思い浮かべますか?
「小2で相対性理論を理解」とか「5歳で大人並みの絵を描く」「絶対音感がある」など「天才」のイメージを思い浮かべる人も多いかもしれません。あるいは「天才だけどコミュニケーションに難がある」というイメージを持っている人もいるかもしれませんね。
今回ご紹介する「あるあるエピソード」は、ギフテッド関連書籍や、ギフテッド傾向のあるお子さんをお持ちの方の話からまとめたものです。
以下の特徴が、ギフテッド全員に当てはまるわけではありませんし、ギフテッドでない子にも当てはまるものもあるでしょう。
ですから、この「あるあるエピソード」が当てはまるからと言って、「うちの子、ギフテッドだわ!」とはなりませんし、当てはまらないからと言って、「やっぱりギフテッドではなかった」ということにもなりません。
けれども、ギフテッドのお子さんをお持ちの方から、「これもこれも、こっちもあてはまるー!」という反応をたくさんもらったのも、また事実。
エンタメとしてお楽しみくださいね
WISCで時間がかかりすぎ
WISCとは、子供向けのIQテストです。低学年の子の検査にかかる時間は1時間程度だと言われています。検査機関では、余裕を持って1時間半程度に設定されていることが多いです。
ところが、ギフテッドとされるお子さんたちは、2時間や2時間半くらいかかっている様子。
ここには、以下のような理由があります。
- 1問1問を熟考している(完璧主義)
- 平均よりも解く問題数が多くなる
- 疲れて休憩をはさんでいることもある
ギフテッドの子は、小さいうちから、「熟考するスタイル」が備わっていると言われます。何か問題を出されると、正解を見つけるまで、粘り強く考えます。そのため、検査に時間がかかったり、疲れてしまって休憩をはさんだりすることもあります。
また、正解すると次の問題を解いていくため、問題数自体も多くなり、時間がかかります。
検査した人からは「すごくがんばっていたので時間がかかりました」というフィードバックがあるかもしれません。
字が汚い
ギフテッドなお子さんの中には、字が汚い子も多いようです。
なぜ字が汚いのでしょうか? 以下のような理由が考えられます。
- 不器用
- 頭のスピードに手が追い付かないから、書くのがめんどくさい
- そもそも、きれいに書く必要性を感じていない
ちなみに、「漢字の書き取りが大嫌い」というのも、よく聞く「あるある」です。漢字の宿題に取り組めず、癇癪を起したり、ノートに漢字を書くだけなのに1時間以上かかることもあります。
不器用さや、処理速度の遅さ、場合によっては視覚認知に問題があるかもしれません。
親は悩みますが、ふたを開ければ、そもそも、「字を書くことに意味を見出していない」というだけのこともあります。
空想と現実がごっちゃになる
ギフテッドと呼ばれる子供たちは、想像力が強いと言われています。そのため、幼児のころは、現実と空想が入り混じることがあるようです。肌感覚ですが、現在のことと空想が混ざるというよりは、過去のことと空想が混ざっているような印象があります。
ここに来る前は、ウサギの家族と一緒に暮らしていたの
赤ちゃんのころ、一人で飛行機に乗ってアメリカに行ったよ
ギフテッドに限らず、未就学児のこのような発言は、心配はいりません。むしろ、賢さの表れと言えるかもしれません。
「嘘」としてではなく、「希望」や「空想」ととらえて、見守ってあげるとよいですね。
また、未就学児のギフテッドの約半数に、イマジナリーフレンド(またはイマジナリー・コンパニオン)という空想上の友達がいると言われています。
『ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法』によれば、子供は、イマジナリー・フレンドの名前や人格を変えたり、好きな行動をとらせたりすることはできないそうです。
形のない空想上の友達のこともあれば、人形やぬいぐるみなどの「形」がある場合もあります。
保護者の声
4歳のとき、お気に入りの人形と喧嘩をしました。どうやら、人形を投げてしまったので、「怒っているに違いない」と思ったようです。仲直りできたときには、涙を流していました。
途中式を書かない
一定数いるようです。
「書けるけど書かない」こともあれば、「書けない」こともあるようです。
たとえば、こんな簡単な問題。
花子さんはみかんを32個持っています。太郎君に10個、次郎君に5個あげました。
残りはいくつですか?
ギフテッドは、低学年であっても問題文を読んだだけで、答えが17だとわかります。
ところが、式を書かせようとすると、とまどい、答えの17を使って、謎の立式をはじめます。
「32-17=15!」とか。「17-10=7」とか。
いやいや、その「17」、どこから出てきたのよ……
ご紹介したのは、低学年向けのかなり簡単な問題ですが、この傾向はその後もずっと続くようです。
ギフテッドの子たちはいきなり答えに飛びますが、だいたいの子は順番にステップを踏んで考えます。そのため、友達に勉強を教えてもうまくいかないことがあるようです。
保護者の声
頭の中で比較的複雑な処理ができるので、中学受験のいわゆる1行問題は途中式を書きません。私であれば数式であれ線分図であれ、紙に書き留めて解いていく方が圧倒的に安心感があります。しかし彼の場合は頭の中で解く能力と、紙に書いて解く能力の間に乖離があるので、「書きながら解いた方が解きやすい」とは感じないのだと思います。
白目トモ子さんのブログでは、WISCの結果と計算ミスの関連性について興味深い考察がされていました。
ニュースを見せられない
子どもにはニュースを見せないようにしているという話も、よく聞きます。理由はさまざまですが、以下のようなものがあります。
- 世界が不平等であることに怒り出すから
- 戦争などのニュースで不安になるから
- 親が質問攻めにあい、大変だから
ギフテッドといわれる子供たちは、好奇心旺盛で理解力があるので、たくさんの情報が入ってきます。ところが、心のほうは年齢相応で、入ってきた情報を受け止めきれません。
その結果、アフリカの子供たちのニュースを見て不公平だと激怒したり、戦争のニュースを見て不安にかき乱されたりします。
その反応がまた激しいのです。親はニュースを見せられません。
類似あるある
学校の不審者講習が効きすぎて、一人で登下校できなくなる。また、個人情報がばれるからと、記名を嫌がったり、近所のおばあさんを不審者扱いしたりするようになってしまった。
戦争に興味があり、ロシアとウクライナのことを根掘り葉掘りきいてくる。質問をしているうちに北方領土問題について知り、「疎開しよう」と言い出して収拾がつかない
激しく長い「なぜなぜ期」に親が疲弊
ギフテッドの子供たちは、答えのない質問や、答えづらい問いを繰り返します。あまりの好奇心に、親が疲弊することもしばしばです。
答えにくい質問とは、たとえば以下のようなものです。
- 「神さまはいるの?」
- 「戦争はどうして起きるの?」
- 「どうして季節は変わるの?」
- 「光のほうが音より早いのはどうして? 大気圏外でもそうなの?」
- 「女子には更衣室があるのに、男子は廊下で着替えるのはなぜ?」
お子さんによって、「哲学系」「科学系」「社会系(ジェンダー系)」など、質問の傾向はさまざま。
眼科に行ったとき、目の構造の絵が貼ってあるのを見て、「あれは何、こっちは何?」と先生を質問攻めにしました
我が子の得意な質問は、「2番は?」でした。「戦争はどうして起きるのか」ときかれて、「1番の理由は、土地の取り合いかな」と答えた私。エルサレムの例を持ち出したり、土地には資源の価値があったりすることを長々と説明しました。説明を終えたとき、我が子が言ったのは「2番は?」でした。
もちろん、3番、4番と続きます。
周りの友達と話が合わない
ギフテッドの子たちは、同学年の友達と、話が合わないことがあります。
ギフテッドの子どもたちは学年的に3~4年程度高い言語理解能力を示します。子どもたちが恐竜の図鑑を見て、「すごいね」とか、「強そう」と話しているところにギフテッドの子どもたちが入ってきて、「これはね、トリケラトプスで、中生代後期白亜紀に、今の北アメリカ大陸に生息した植物食恐竜だよ」と話すわけです。同じ題材で話をしていますが、当然会話がかみ合うわけがありません。
ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法
ほかにも、政治に関心を持っても、その興味を共有できる友達がいないなど、興味の対象が違うこともよくあります。
類似あるある
将棋やカタン、モノポリーで遊びたいけど、幼稚園にあるすごろくはつまらない
衆議院選挙の結果について話したいんだけど、話し相手がいない
まとめ
ギフテッドというと、天才だから勉強面では困らない、と思われがちです。「字が汚い」「途中式が書けない」など勉強面の困りごとを見て、驚いた方も多いのではないでしょうか?
ギフテッドについてもっと知りたいという方は、こちらの記事をご覧ください。
以下のコラムでは、ギフテッドが不登校になりやすい事情を考察しています。