ギフテッドと検索すると、予測で「ギフテッド 顔つき」「ギフテッド 顔立ち」というワードが出てきます。
実はたくさんの人が、「ギフテッドに特徴的な顔だちがあるのではないか?」と思っているようです。
この疑問は一見非科学的ではありますが、実は、昔から、「知能」と「顔つき」の関係は研究されてきました。
犯罪者の顔立ちについても、有名な研究がありますね。(犯罪者の顔を合成していったら、非常に美しい顔ができあがったというものです)
結論から言うと、顔立ちから、ギフテッドを見分けることはできません。しかし、「瞳孔」と「認知機能」には、何かしらのつながりがあるかもしれません。
今回は、海外の研究をもとに、「知性」と「顔」について、考察します。
「顔立ち」と「顔つき」の違い
まず最初に、「顔立ち」と「顔つき」について定義させてください。ここでは、「顔立ち」と「顔つき」を以下のように区別して使用します。
顔立ち:純粋な顔の造形
顔つき:表情の作り方
賢い顔立ち(賢く見える顔立ち)として言われる特徴には、「おでこが大きい」「顎がとがっている」「中顔面が長い(面長)」などがあります。
賢い顔つき(賢く見える顔つき)として言われるのは、「見透かすような目」「するどい視線」など。また、「口が開いていると頭が悪く見える」なども、顔つきに入るでしょう。
メイクアップの好みや、髪型、服装の好み、TPOと服装などについては考察の対象外とします
次の章では、「顔」と「知能」に関する論文をご紹介します。
顔を見れば、IQが高いかわかる
2014年の論文で、「男性の写真を見ただけで、人はその男性が高IQかどうかを当てることができる」ということが発表されています。チェコの科学者の論文です。なお、研究対象となったのは、男女それぞれ40名です。
顔写真を見るだけで、見る人は、男性の知能は正確に認識することができる。しかし、女性の知能を正確に認識することはできない。ただし、この推測は、顔の輪郭に基づくものではない可能性もある。我々の研究結果によれば、知性と魅力、あるいは知性と顔の輪郭には関係がないことがわかっている。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0081237
※この研究はチェコで行われたものですので、他文化では違う結果がでる可能性もあります。
上記の研究は、知能の指標として「IQ」を用いていますので、研究結果が正しければ、IQと男性の顔には何らかの関係があるということが言えそうです。
このことについて、論文では以下のような説明がされています。
- 子どもを産む期間にある女性は、優秀な遺伝子を残すために知性的な男性を好む
- 長期的な関係を望む女性は、知性は高くなくても誠実な男性を好む可能性がある
- よって、男性にとって、自分の知性を正確に表現して、他者と差別化することが利益になる
ただし、我々人間は、女性については正確な知性を当てることはできていない様子。
瞳孔の大きさと流動性知能には関係がある
次にご紹介するのは、アメリカの研究結果です。
魅力的な人を見ると、瞳孔が大きくなるというのは、よく知られています。2016年のこちらの論文では、流動性知能が高いほうが、瞳孔の大きさが大きいということが確認されました。
- 流動性知能が高い人は、瞳孔が大きい
- ワーキングメモリのスコアが高い人は、瞳孔が大きい
- 流動性知能とワーキングメモリでは、流動性知能のほうが瞳孔との相関関係が高い
2021年にはより詳しい研究が発表されていますが、2023年にはほかの研究者がこれに反する論文を発表しており、真相はまだ明らかになっていないようです。
瞳孔の反応を見ることで、初期アルツハイマーを検査できるかという研究も行われており、瞳孔と認知機能には何らかの関係がある可能性は否定できません。(論文はこちら)
IQと顔立ちは関係がない
一方、2021年、スタンフォード大学は「Nature Genetics」で、顔と脳の発達には大きな相関関係があるとする論文を発表しました。
スタンフォード大学の研究で、顔と脳、両方に影響を与える遺伝子が70以上あることが明らかになりました。しかしながら、この遺伝子は、ADHDやアルツハイマーに現れるような「認知機能」には影響しないとのこと。
では脳の何に影響するかというと、脳の「形」です。
顔の造形は親に似ますが、脳の形も実は親に似ているということですね
人間は、長い間、脳と顔の関係にひきつけられてきました。様々な理論で、脳と顔の関係を説明しようとしてきたのです。しかし、我々の研究は、顔を見ただけで人の行動や認知能力を予測することはできないということを示しています。
スタンフォード大学
つまり、こちらの論文によれば、「顔の造形から、その人の知能を予測することはできない」ということです。
まとめ:顔立ちからギフテッドを判別することはできない
ギフテッドと顔立ちの問題について、海外の研究をご紹介しました。
ここまで引用した論文の内容をまとめると、以下のようになります。
- 男性については、顔写真を見れば、IQが高いかどうかがわかるらしい
- IQと顔立ち(顔の造形)に相関関係はない
- 瞳孔の大きさと知能が関連する可能性がある
「顔立ち(顔の造形)」で、知能を測ることはできないと言って差し支えないでしょう。
「顔つき(表情)」で知性がわかるかどうかについても、断言はできません。
また、ギフテッドはIQが高いという特徴を示すことが多いですが、ギフテッドの判定は非常に難しい問題でもあり、一概にIQだけで語ることはできません。ですから、いずれにしろ「顔つきでギフテッドかどうかわかる」というのは言いすぎでしょう。
以下のコラムでは、ギフテッドの有名人をご紹介しています。ギフテッドの有名人の顔を思い出しても、やはり、顔つきでは判断できないと感じます。
当サイトは、ギフテッドと言われる人や子供たちについて、たくさんの人に知ってもらう、考えてもらうことを目的のひとつとしています。「ギフテッドって、どんな特徴があるの?」「高IQ発達障害だよね?」などの疑問に答える記事を多数公開しています。他の記事もぜひのぞいてみてくださいね。